長崎地方裁判所 昭和44年(ワ)83号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔判決理由〕被告会社に対する請求について。
被告会社との間で被告吉田が被告会社の従業員であることは争いがなく、而して<証拠>によれば被告車は会社の所有でなく被告吉田の所有であることが認められる。
原告は被告会社は被告吉田所有の本件加害車をその業務に使用する部下従業員の輸送に日常使用していて、被告会社はそれによつて利益を得ていたから自賠法三条に規定する責任を負わねばならないと主張するが本件に顕われた資料を全て検討しても右のことを認めるに足る証拠はなく、却つて被告吉田は会社の業務執行に被告車を使用していなかつたし、従つて勿論会社がそれを業務の執行に使用していたなどの如き認識は全くなかつたことが認められ、従つて事故の当日たまたまその日が日曜日で松ケ枝岸壁から会社の所在する飽の浦への渡海船が連休していたので、同地区に居住する従業員二、三名の者に好意的に自己通勤用の車に同乗させたことがあつてもそのことから被告会社が本件車両に対する運行の支配権を有し、その運行利益を会社が享受したもの、つまり運行供用者であつたとすることはできない。
したがつて被告会社が被告車の運行供用者であることを前提とする原告の自賠法による損害賠償請求は理由がない。
(山下進)